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  越前・鷹巣 釣行記・・・ 出た!!大鯛 91.5cm,10.6kg         06.6.5
                                                 JOFI愛知・会員 田渕 稔
  太平洋側の海は黒潮の蛇行と、冬期の大雪の雪解け水の流入と、それによる水温低下の影響なのか、今年は魚の動きが例年になく異常で、クロダイがいつまでも居付いていたり、ハラミの上り鯛が姿を見せないし、初夏の釣りの風物詩・抱卵イサキの接岸も、漁師によれば1ヶ月以上遅れているとか。
   そのような中、日本海側は対馬暖流に乗ってか、ハラミ鯛が好調に姿を見せて、釣り人を狂わせているとの情報を聞いて、去る6月3日(土)JOFI植松代表大森氏と3人で越前・鷹巣のアラタニ釣具店手配の仕立て船「宮丸」の午後便に乗ることに。
   9時名古屋を出発して12時前にアラタニに到着。船宿の主人の近況によれば、「このところ連日20〜30枚はあがっており、ハラミの型揃いで70〜80cmも出ている、昨日は1メートル超のブリも上ったし」と釣り心をえぐる必殺の話に、全員の夢と期待はバンバンに膨らんだ。
  支度もそこそこに、宮丸に乗り込み、午前の釣果を恐る恐る聞いてみると「今日はあんまり良くなかったねー」と。
ガクッときたけど、「午前中に撒き餌してくれたから午後はきっといいぞ」と全員前向き・楽観的。
天候も久方ぶりのナギで、暑くなる予想で問題ない。あとは潮の流れか。
好釣のせいか釣り人も多く、それぞれの船に乗り込み、思い思いに竿を取り出し、準備に余念がない。
  定刻に一斉出船。船頭は 「いい場所に入らねば、場が狭いので」 と全速で白波を蹴立てて爆走、併走する他船を振り切ってポイントに着くや、一番錨を手馴れた動作でドボン。どうやらオオグリという漁礁らしい。水深は44尋。
  植松代表と大森氏はトモに並んで完全フカセ釣り。私は取り舵胴の間で、この2〜3年試しながら続けている胴付き仕掛け(アミカゴつき)幹糸3m間隔、枝糸1.4mの5本針、捨て糸10mの大仕掛け。この仕掛けが3年前に、この宮丸で、この時期の鯛を大釣りしたので、船頭は「ここでは無理だ」と言うのを懲りずに使っている。
  船頭は潮の流れの速さと風の向きなどを読んで、完全フカセ釣りに見合う潮上の位置に錨を打つのだが、底潮が早いと私の胴つき仕掛けは足元に降ろして着床してからも、オバセ釣りの要領で、先のポイントへ順次送り込めるが、潮が遅いと届かないので不利。但し、3年前のように魚の活性が高く、漁礁から出てきて動き回っている時は、針数が多いだけ効果がある。どうも今日は100mくらい先にポイントがあるようだ。しかも潮はゆるい。15号くらいのオモリでも100mまで届かない。完全フカセの二人もポイントまで仕掛けを送り込むのにかなり時間がかかっている。
  魚の活性も低いのか全員なんの当たりもなく、エサ取りにまで見放されて、時間だけが過ぎてゆく。
  「こんなはずではなかったのにー」と撒き餌を繰り返し、仕掛けを巻き上げては付けたままの沖アミを見て、舌打ちしながら再投入を繰り返していたら、植松代表が「来たッ」と長竿を煽り、電動リールをうまく使って、強烈な突込みを交わしながら巻いている。引き込み具合から 「鯛ではないな」 と思っていたら、船頭のタモに入ったのはブリに近いワラサ
これで 「よしきた、やるぞ」 と気合が入るが、それっきり。
  そのうち船頭が見かねて、風の向きを見ながら何度か錨を打ち直すが、矢張り当たりはない。午後4時を過ぎる頃ようやく 「今日はボウズかなー」 と覚悟を決め始めたとき、船頭が最後の手段で 「最近あまり話は良くないけど、一か八か一発大物を狙って港前のサバグリへ行ってみよう」と言う。「帰りに近い所で時間稼ぎかぁ、仕方ないな」 と思ったが、着いてみると3年前に大釣りしたポイントだ。
  他船も数隻来ていて、漁礁を取り囲むように錨を打っている。漁礁に対して真横に舟が止まるので、船頭は面舵ミヨシで竿を出して、私はオオトモでやるが全くやりにくい。そのうち船頭が竿を曲げて、船底へ強烈に突っ込むのを強引に抜き上げたのは矢張り大ワラサ。続いて植松さんが 「今度はこっちだ」 とリールを巻いている。
引き込み具合から見るとどうやら本命(鯛)らしい。50cmの良型を見て 「またやられたー」 と頭真っ白。大森さんはといえば早々とあきらめて、サビキ仕掛けも出して 「アジのお土産でも釣れんかいな」 とやっている。
  私は、潮の向きからトモでは無理なので、船頭の前の大ミヨシでやれないかなと見に行ったら、船頭が 「今日の潮ではアンタの仕掛けは無理だ、私の竿を貸すからこれでやってみろ」 と言う。  プライドが許さないが、ボウズで帰ってわが家でみんなが馬鹿にする顔が目に浮かび、近所に大口叩いて約束手形を切った手前もありで、目を瞑って 「アリガトウ」 と言ってしまった。
  船頭の虎の子の竿でなく古い竿と電動リール、吹流し仕掛けを拝借し、沖アミをつけて、慣れない電動リールで第一投。潮がゆるいのでなかなか糸が出てゆかない。100m出すのにどのくらい時間がかかっただろうか、もう納竿時間も迫っているのにと、イライラしながら送っていると、なんとなくリールが早送り回転したような気がしたので、竿を手に持って煽ってみたらグイッときた。船頭が 「来たぞ大きい、早くリールを巻けッ」 と言うが、はじめて電動リールを使うので、要領が分からず、モタモタしていたら根がかり!!。
  なんとしても上らないので船頭に 「もうあきらめたよ、切ってー」 と頼んで、残念ながら手袋はめて引っ張って切ってもらった。ガックリしながらリールを巻き取ろうとしたら、まだとても重い、しかし巻き取れる。石か海藻でも付いているんだろうと頭にきてガンガン巻き始めたら、ナント竿が明らかにグイグイと引き込まれるではないか。
船頭は 「まだ魚が付いているぞ、ゆっくりやれ」 と大声で怒鳴る。
 やがて海面にぼんやりと浮かんできたのは、見たこともないような大鯛!!!。
船頭も興奮してタモを出し、「これが釣りたかったんだ。まだ居たんだな。こいつはサバグリの主だ」と。
 早速寸法を測ると95cmあるという。大鯛にしてはピンクも美しいメスだ。
 オオダイは夫婦で居るというが、続いて大森さんのフカセ仕掛けに物凄い引き込みでアタリがあり、とても耐え切れず8号道糸が根擦れでプッン!!。
多分こいつが親父か?。
  みんなが力が抜けたところで、記念写真を撮ってもらい、竿を収めることに。
  寄港後、船宿に着いて寸法を測ったら91.5cm、10.6kgだった。
     (船上では巻き尺で測ったため身の厚みぶんがけ多くなった?)。
  船宿では今年は勿論最近の記録だそうで、魚拓を採ることが出来ず残念でしたが、私としては3年前に石鏡沖で釣った84cmを大幅に更新することが出来て、もうこの記録は一生(残り時間も少ないし)破れないでしょう。
  でも、自分の竿・仕掛け・釣り方でなく、借り物での釣果ということで、いまいちすっきりはしませんが、同行者の皆さんと適切なアドバイスと道具を貸してくれた船頭さんに感謝し、20〜30年生きながらえて今日、私に生涯の記録をくれた魚さんに感謝し、成仏して祟りがないことを願うばかりです。
船上で記念撮影・・重い重い! 船宿でも記念撮影・・記録更新とか

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