第1回・国際キャスティングスポーツトーナメント in CHINA 参加報告 (1.INTERNATIONAL CASTINGSPORT TOURNAMENT IN CHINA) 1011.03.15 JOFI岐阜・細江 芳 今年 3月4日、中国広州市において、「第1回インターナショナル・キャスティングスポーツ・トーナメント」が開催されました。これは3月3日から5日まで、同市において催された「中国国際釣魚用品展(フィッシング・フェアー)」の一環として行われたものです。 そこには、今まで日本以外アジアでは参加がなかった 「キャスティング競技」 へ、経済成長著しい中国を迎え入れたいという 「ICSF(国際キャスティングスポーツ連合)」 の意向があり、フィッシングフェアーの場を借りて、そのきっかけを作る運びになったものと思われます。 今回ICSFから招待を受けた 「JCA(日本キャスティング協会)」 の会員として、中国での記念すべき第1回国際大会への挑戦の気持ちとと、何かお手伝いできればとの心から、思いきって参加してまいりました。 中国では、まだ 「キャスティング競技」 としての団体も組織されておらず、どんなものかも認知されていないのが現状です。 現地で紹介を受けた中華民国釣魚・釣具協会秘書長、陳さんの名刺によれば、台湾には 「遠投運動協会」 なるものはあるようです。 よって中国が舞台とはいえ、準備や進行は、東西から集まった各国選手が請け負うことにもなるであろうこと、また競技とともに、実演デモや紹介、キャスティング体験補助の性格が強いのであろうと予想されました。 実際はまさにその通りでした。 過去、「釣りインストラクター」としてのルアー体験補助、学園祭やアウトドア関連でのキャスティングイベント等経験があるため臆するものはありません。 タックルさえあればあとは熱意で何とかなるだろうとの思いでした。 航空券の都合で、3日間とも博覧会へ臨むこととなり、大会前日の3日は本番前の練習と併せ、お客さんへのキャスティング体験補助をさせていただきました。 会場は広州コンベンション&エキシビションセンターで…と書くと簡単ですが、大通りを挟んで南北そして東西に、巨大な体育館並みの施設が林立しており、それらすべてで会議やら発表会やら展示・商業祭をやっているのですから目の廻る思いです。 エキシビション関連だけでも15ホールほどあり、その内の1ホールの1区画で、インドアトーナメントが行なわれるのです。 送迎バスを降りてから、そこへ辿り着くまでに10分以上歩くと言えば、広さを想像していただけるでしょうか。 釣り博といっても、釣り具から網、ボート、潜水具等、ブースは盛りだくさんで、続きのホールでは車やらなんやらの展示もやっています。 さまざまなブースから流れてくるお客さんを相手に、的当て競技の手ほどきをして楽しんでもらいます。 言葉は、勤めた会社に中国の女の子が何人かいたためそこそこ単語の蓄えがあり、今回加えて日常会話のいくつかを仕込んでいきましたものの、文章となるとそう甘くはありません。 「四声」と呼ばれるほど発音、抑揚等難しく、言っても伝わらないケースが多かったです。 そんな時は、メモ帳を取りだして漢字の筆談です。 文字では両国は兄弟ですから、大体の意味は分かってもらえます。 さて、肝心の競技です。 会場の制約から、今回は、距離競技はなく、的当て正確度のみでの勝負。 スピニング2種目・ベイト1種目を行い、3種目中の上位2種目の合計で順位を決めるというルールでトーナメントは行われました。 翌4日の競技本番は、うまく気合が入っていたのでしょう、優勝してしまいました。 過去世界選手権を3度経験しましたが、表彰台に縁はなく、小規模ながら初めての国際競技大会優勝、 しかも、これまでヨーロッパの牙城だったスピニング部門で勝ち取っただけに、感慨ひとしおです。 私は一人先に現地入りしましたものの、あとで合流した日本人選手御三方は、いずれも世界選手権のメダリストであり、いわば最強の布陣です。 それで、なんとチーム戦も日本が本場ヨーロッパ勢を抑えて優勝してしまいました。 チャレンジコンペを含めても、スイス・オーストリア・ドイツ・日本・中国・マレーシアと全6カ国、総勢20名程での開催でした。 とはいえ、個人戦、チーム戦とも、日本が表彰式の真ん中に立ってしまったのですから、正直いいのかな?といった心境でした。 すかさず、いいんです!!。 世界選手権は、それほど甘くありませんが、将来そこでもこんな日が訪れるかもしれません。 釣りもキャスティングも、上を見続けている限り、我々を引っ張り上げようとしてくれます。 目指すべきものとして常に上にあります。 私は双方とも愛しているので、その世界で少しでも自分が上手くなりたい、成長出来たらと願い、志を高く持ちつつ、また練習に励みたいと思います。 おかげで釣りの方はちっとも上手くなれませんが…。 5日最終日、競技大会も終わり、リラックスムードの中、残りの半日を、お客さんのキャスティング体験補助に回りました。 この日は自分の思いをウエアに込めて臨みました。 過去世界戦で着た日本のユニフォームの日の丸の並びに、にわか作りの中国国旗のラミネートをピンで留め、友情を表したつもりでした。 北京オリンピックでは日本への残念なブーイングもあったようなので、競技中は、なるべく日本を際立たせない方がよいと遠慮していたのです。 ですから前日までは、私を日本人と気付かないお客さんから、いきなり中国語でまくしたてられ、「ドイブーチー、ブーミンバイ(ごめんなさい、わかりません)」 の連続でした。 しかしこの日、一目で日本人と分かるユニフォームを着ていても、疎遠や怪訝な反応は一度も経験しませんでした。 国家対国家では飲み込めない感情があったとしても、コミュニケイションの基本とは、やはり人対人、個人対個人ではないでしょうか。 (釣りも含めた)キャスティングスポーツを通じて、不幸な歴史を持つ両国の間に、新たな友情を築くことができるなら、それは嬉しく心温まる思いです。 そんなことを感じつつ、最後の補助を続けました。 「ラア(引いて)、トゥイ(押す)。 ラア(引いて)、ファンカイ(放す)!。」 |